←前の記事 3.5日目:キャラの濃いおばちゃんと行く夜行列車の旅
ウズベキスタン西部にある自治共和国、カラカルパクスタンの首都ヌクス。
こちらの方はとにかく暑いと聞いていて、戦々恐々としていたのだけど…
やったーー!!涼しいぞ!!!
お昼近い割りに涼しくかなり快適。ちょっと曇ってはいるけどね。
これは嬉しい誤算!
灼熱のタシケントからスチームサウナの夜行列車を経て、ようやく一息つける!
列車のホームと外を隔てる門のところには、乗客のお出迎えやタクシードライバーでひしめき合っている。
タシケントで大いに助けられたタクシー配車アプリyandexは、2019年8月の時点ではタシケント以外の都市は未対応。
地球の歩き方2019~2020には、駅から市内中心部まで約3km、タクシーは初乗り3㎞で5000スムと書かれていた。
私たちが泊まる宿は、中心部より少し手前の割と新しい宿。
ガソリン代も上がっていると聞いていたし、現地人と同じ金額で乗せろ!とまでは思わないのでまあ10000スム以内で乗せてって欲しいところ。
門を出た瞬間、英語をちょっぴりだけ話すタクシードライバーに捕まる。
ドライバー「タクシー?ホテル?」
そう。ホテルニカ。知ってる?
「ニカね。知ってる知ってる。着いてきな。」
ホントに知ってる?
「知ってるよ。町のこう…(ジェスチャーで)こっちのほう」
あ、ちゃんとわかってそう。いくら?
「30000スム」
エーーーーッッックスペンシブやな!!!いらんわ!!
立ち去ろうとするも、いくらなら乗る?とお決まりの文句。
10000スムと伝えると「OK、ついてこい」。
えー。あっさり。もっと粘るかと思った。ぼったくってくる奴の車には乗りたくないんやけどな。
5000スムって言えばよかったか。
まあいいや。なんせ列車が大幅に遅れて時間がない。
できれば今日、船の墓場のあるムイナクに行ってしまいたい。観光時間抜いても往復5時間くらい。
サヴィツキー美術館にも寄りたいし、とにかく時間がないのだ。
どうせ宿までの短い付き合い。さっさと決めていこう。
車中、国籍やらこの子のパパは?などのお決まりの会話の後
ドライバー「ムイナクに行くのか?400000スムでどうだ?」
営業きました。
駅でのやりとりから、私はこいつを完っ全に信用していなかったので当然お断りだ。
宿に着く直前、再度「ムイナク行かない?」と営業をかけてくるドライバー。
荷物の整理したり着替えたりしたいから時間かかるし、と断ると、外で待ってるから、300000スムでどうだ?と。
ほう。
だったら時間の節約にもなるし、多少高くてもいいか。
実は私、ムイナクまでの相場について大きな勘違いをしていたのだが、この時点では気づいていなかった。
最終的に
・宿でのチェックインや着替えの間外で待っておくこと
・サヴィツキー美術館とムイナクの歴史博物館にも連れていくこと
・水を買える商店に寄ること
・昼食を取りたいのでその時間も待っていること
以上を条件に350000スムで話がまとまった。
ヌクスでの宿はこちら。
娘と2人で2171円。
はじめはJipek Joli Innの、屋内にあるユルタに泊まろうと思っていたんだけど
ネットからは予約できないのか、見つからず。
通常の部屋は予算オーバーで、こちらの宿に。
宿のおばちゃんは、英語が話せないけど常に翻訳機代わりのスマホを片手に
「何か困ったことは?」「他にわからないことはないか?」と積極的に聞いてくれるので、言葉が通じず困ることはないと思う。
たぶん食堂?パスポートコピーしてる間待たされた部屋。
なかなかよいかんじ。
さあ、大急ぎで荷物を整理して、夜行列車で汗だくになった服を着替えて出発!
もうお昼はとっくに過ぎてるし、まずは昼食だ!と意気込むも
ドライバー「昼食はムイナクで魚を食べるのがいいよ。絶対その方がいい」とかなり強くすすめてくる。
いや、ここらの人は、新鮮な魚はムイナクでしか食べられない!みたいな感じかもしれないけどさ。
日本人、魚、日常食やねんか。お昼ご飯を夕方にずらしてまで魚じゃなくてもいいんだけど。
お腹空いたし早く食べたいと訴えるも「絶対ムイナクで魚を食べるべきだ」とドライバー譲らず。
いやあんた、それ自分が食べたいだけとちゃうの?
まあ、まあいいわ。魚を食べないことに強いこだわりがあるわけじゃないし。
娘には繋ぎにビスケットでも食べさせとくわ。
という事で、寄ってもらった商店で、ガス入り水1.5Lとガスなし水1.5Lと、量り売りのビスケットを購入。
水は1本2500スム。観光地よりはかなり安いけど、スーパーマーケットだともうちょい安いのかな。
まずはサヴィツキー美術館に。
ここから周囲を見渡すと、子供用の遊具が見えたので、必死に娘の気を逸らし視界に入れないようにする。
サヴィツキー美術館、歩き方には25000スムと書かれていたんだけど、なんと48000スムへ値上がり…!
受付「メインビルディングだけなら48000スムだけど、2ビルディング見るなら7✖✖✖✖スム(細かい数字は忘れた)よ」
え。たっか。
ぼったくられてるのかなと思ったけど、壁に「2019年料金表」みたいな
政府か自治体だかの発行っぽい紙が貼られてて、確かにそこにはそう書いてある…。
あまり時間もないし、メインの建物だけのチケットで。
荷物を預け入場。4歳娘は無料。
歩き方に写真は120000スム、ビデオ撮影は350000スムとおめめが飛び出るお値段が書かれていたので、初めから撮るつもりはなく
現在の値段も聞かなかったけど、おそらくこれも値上げされてるんだろな。
娘は退屈するだろうしと、ドライバーには短めの時間を伝えていたんだけど
ボタンを押すとランプが点いてアラル海の縮小具合がわかる展示を
娘「もっかいボタン押すやついこ!」「もっかい!」と繰り返し遊んだり
昔の女性がつけていた装飾品を「これウズベキスタンのプリンセスがつけてたやつちゃう!?」と興奮したり
展示されていたユルタについて説明すると興味津々で聞いてくれたり、意外と楽しんでくれたみたい。
特に、これから行く船の墓場、アラル海の環境破壊について理解を深めてくれたことはよかった。
ただ、48000スムの価値があるかと言えば…。
じっくり見る時間があって、美術品に興味があればいいと思うんだけど
そうでなければちょっとお高く感じるかな~。
展示は変わるみたいなので、タイミングにもよるのかもしれない。
さて、ここからムイナクまで約2時間半。
車酔いしやすい娘のことが心配だったんだけど
超~元気。
シートベルトがないのが娘的には楽みたいで、全然酔わず。
寝てくれれば…私も…寝れるんだけど…。
しりとりしたり、いっせーのーで!であがる親指の合計を予想するゲームをしたり。
ポケモン見たり。
今後も何度か遭遇する、牛待ち。
ドライバー「アムダリヤ!!」
ドライバー「これもアムダリヤ!!」
こっちの人はアムダリヤ川にめちゃ思い入れがあるのかな。
アムダリヤの近くを通るたびに「アムダリヤ!」って教えてくれるドライバー。
最終的に川を見つけるたびにこっちが先に「アムダリヤ!」言うてやることにした。
だから何だということはない。
ムイナク~!
ムイナクの町、やたらと工事中。車窓からちょっとしか撮れなかったけど
あっちもこっちもほぼ工事中。
他の町でも古くからあるバザールや建物が壊されて行ってるし、ムイナクも?
それとも観光客誘致の為に大改造中?と思ったのは、船の墓場に降りる階段の横にも新しい建物を建築中だったから。
もしかしてチケット売り場作ってて、そのうち船の墓場への入場も有料になるのかな~なーんて。
車停めてすぐの階段を下りれば、船の墓場!
風が強い!!
娘「おかあさんーー!!おめめにお砂はいる!」
背中や!風に背中を向けるんや!!
娘「かぜいまどっち?」
あっち。
何時間もかけてこんな、4歳児が楽しめなさそうな場所に連れてきて!!
ひどい親や!とお思いでしょう。まあひどい親なんですけど。
でも実はここ、意外と娘も楽しみにしてた場所で。
娘「きゃはーーー!ほんまや!!貝めっちゃ落ちてる!!!」
娘、大興奮!!
一心不乱に貝殻拾い。
おーい!次あっちに行こう!
娘「まだ拾うからまってー!」
あっちにもいっぱいあるって!
娘「じゃあおかあさん行ってていいよ」
あっそ…。
普段私にべったりでちょっとも離れたくない娘が…!!
貝殻拾いの魅力おそるべし。貝殻>母。
20世紀最大の環境破壊なんて言われてるアラル海、干上がった場所に船を運んできてできた船の墓場だけども
(もし干上がったあらましなどご存じなければ、ア詳しくはwikipediaとかごらんください)
ここへ来て何に一番衝撃を受けたかって。
20世紀最大の環境破壊が引き起こしたこの光景を見てもなお。
環境破壊が起こったまさにその場に、ごみを平気でポイ捨てしていく人がいることに衝撃を受けたよね。
船の中にぽいぽい。
なんか悲しゅうて、あんまりゴミゴミしい写真は撮らなかったんだけど…
外にも中にも、ペットボトルとかお菓子の袋とか、明らかに昔からそこにあったものではないゴミがたくさん落ちてた。
ここで、それをできる神経がわからん。
なーんも感じんのか。
梯子がついてて登れるようになってる船もあった。
ひとりタイタニック的なことしてるひと。
スケジュール的にも娘の体力的にもきついかな、と最後まで迷っていたんだけど
結果娘も楽しんでいたし、来れてよかった。前回は日程が足りず来れなかった場所だったので。
娘も、何か感じるところがあったらしくしばらくは
「はやくお水がもどってくるといいね」「お水だしっぱなしにしたらウズベキスタンの海みたいになっちゃうからあかんねんで」とそんな発言も多かった。
一度無くなってしまったお水は、もう戻ってこないかもしれないし
戻ってきたとしても、何百年何千年単位でかかることなんだよ。
ここにゴミポイ捨てしたやつ!!4歳児以下やぞ!!
そろそろ帰るよー。
娘「いや。もっとひろう」
娘「おくつおちてるよ」
それは触ったらあかんやつやで。展示物のようなもんや。
娘は途中でビスケットを補給したからいいものの、私は昼食抜きでお腹ぺこぺこ。
まだまだ貝殻拾いしたい娘を何とか説得し、船の墓場を後にする。
ドライバーと娘とモニュメント。風がめちゃ強い。
タクシーに乗り込んでから、はたと気づく。
この貝、持って帰ってええんかな…?
たしか日本への持ち込み的には、洗って砂を落とせばOK。
船の墓場的にはどうなんだろ?
ドライバーに聞いてみる。これ、持ってって大丈夫?
ドライバー「おっけーおっけー」
ほんまかいな。じゃあまあお言葉に甘えて…。
もしここで没収したら、娘号泣必至…。
16時に食べるランチはここ。
google map にアップされている画像が謎すぎる。
ドライバー「俺も食べていい?」
出た。つまりご馳走してってことよ。
まあこの時は、ウズベキスタンの物価の安さもあり、お昼前から一緒にいて空腹なのもわかってるし、そう拒否感なかったのでOKしたんだけど。
でもこれさ、よっぽど嫌な思いした相手とかじゃない限り、断れなくない?
私断るよ!って方いたらどうすればスマートに拒否れるのか教えてください。
店に入り、ドライバーと店員さんが何やら話している。
若干揉め…いや揉めてるってほどじゃないけど。
ドライバーがあからさまに落胆している。
ドライバー「魚今日はないんだって…」
ないんかい!!
夕方にまで昼食引き延ばした意味!!
ドライバー「はあ…」
やっぱ自分が魚食べたかっただけやろ。
ラグマンとかショールヴァとか、なんか煮込み料理っぽいのとか、定番メニューは大体10000スムくらいで高くない。
娘「パンとちゅるちゅる(麺)がいい」
とのことで、ラグマンをチョイス。ノンあるから、私、麺類は嫌やねんけど…。
ダブル炭水化物なるやん。大阪人がみんなお好み焼きとご飯食べると思うなよ。
私の周りにはそんな大阪人誰もおらんぞ。
あ、でも昔、鹿児島から出てきた知人は、お好み焼きと焼きそばと白ごはん一緒に食べてたな…。トリプル炭水化物。
たくさん頼んでも食べきれないので、ノンとラグマンとシシャリクを娘とシェア。
ラグマンは口にあったみたいで、よく食べてくれた。
私も美味しかったと思うんだけど、何せ夜行列車内でおばちゃんに恵んでもらったノンぶりのご飯だから…。
空腹が最高の調味料として活躍してくれただけかもしれない。
昼食?も済んで、次はムイナク歴史博物館に。
ここではサヴィツキー美術館以上の値上げ幅。
5000スムから20000スムに。
なんと4倍。まあ元が安いからいいけどね。
受付のお姉さんに、ガイドブックには5000スムって書いてあるんだよーって言うと
「5000!?ありえない!」ってなリアクション。歩き方めえ。
ここは撮影料無料なので、遠慮なく撮るぞー!
写真や絵の展示も。
海や魚、漁をしている絵ばかり。昔はこれだけ豊かに水があったということを実感させられる。
干上がった姿である船の墓場を見た後だと余計に物悲しい。
剥製を警戒する娘。
娘「なんでぜんぜん動かへんの?」
あ、ほんものやと思ってる?
娘「にせものなん?」
うーん、死んでるけど本物だよ。標本って言って、本物が死んだあと、腐らないようにしてあるの。
娘「なーんや。がぶっ!てされたらどうしようかと思っちゃった」
娘「これも死んでるけどほんもののお魚?」
そうやで。
娘「死んでるけどほんものの鳥」
娘「死んでるけどほんものの魚と…にんげん…?」
博物館を見た後はまた長い道のりを戻って、ヌクスの宿に着いた頃にはもう20時近く。
明日は朝からヒヴァへ移動。ドライバーから営業をかけられ、ヒヴァまでの車もお願いすることに。
ドライバー「300000スム」
高いよ。
ドライバー「だって200km行って、また俺帰ってくるねんで。6時間くらいかかるねんで。」
帰りに違う客捕まえて帰ってこられへんの?
ドライバー「ごにょごにょごにょ」
うーん、じゃあその代わり、銀行か両替所に寄って、後ヒヴァ駅も見てみたいからヒヴァ駅にも寄って300000スムならいいよ。
ドライバー「ヒヴァ駅なんてないよ」
去年できたんだよ。
ドライバー「ないよ」
あるって。
ドライバー「ないよ」
あるって!知らないなら道調べといて!
そしてやっと宿でひと段落。
お昼ご飯が遅すぎたので、私は全くお腹空いてない。
娘はちょっとお腹空いたというので、飛行機で貰った丸いパンに
これまた飛行機で貰ったジャムをつけて食べてもらう。
夜行列車に17時間くらい乗せられて、その後すぐタクシーで片道2時間半。
さぞかし疲れたやろう、ごめんなあと思っていたら
唐突に始まったかき氷屋さんごっこ21時過ぎ。
娘「かき氷やさんでーす!メロンソーダとブルーハワイといちごみるくとチーズ味がありまーす!しゃかしゃかしゃかしゃかー!!」
元気すぎてついていけない。
娘「なにあじにしますか!?」
じゃ、じゃあチーズで…。
ちなみに部屋はこんな感じ。
写真撮るから退いて!と言ったのだけど、居座って変顔をし続ける娘。
シャワーとトイレは共同だけど、セパレートだし清潔だし快適。
共同のキッチンもきれいだしウォーターサーバーもあるし、乾燥機能はないけど洗濯機も使ってオッケー。
そんなに宿の選択肢がないヌクス、この金額でこの設備なら大当たりじゃん!
と、思ってたんだけどな~。
写真じゃ伝わりづらいんだけど。
ベッド2台中1台がめちゃくちゃ凹んでる。
いやえぐれてる。
上にもどって、娘の変顔部屋写真を見てもらった方がよくわかるかもしれない。
確かに、宿のレビューでもあったんだよね。
絶賛するレビューの中にきらりと光る「マットレスがひどすぎる」との訴えが。
それを書いている人はごくごく一部、ってことは
えぐれマットもごくごく一部、もしかしたら宿の中で1台だけなのかもしれない。
でもその1台に当たっちゃったんだよなー。
これ、娘が座ってるだけだからこの程度で済むけど
大人が寝ころんだら、めちゃくちゃきつい。か、体が…吸い込まれてゆく…・
まあまあどこでも寝れることが自慢の私でさえ、これはちょっと無理。
これからは、平らなところならまあまあどこでも寝れると自称します。
仕方ないので1台のベッドで2人で寝ました。
うーん、夜行列車の寝台の方が広いかもしれん…。
娘を寝かしつけて、ヒヴァの予習をしておこうと歩き方を開く。
…ん?んん?
ヌクスからムイナクまで、シェアタクシー1台400000~600000スムって書いてある。
私、美術館やらごはんの時間やらいろいろ注文つけて、350000スムで行ってもらったけど。最初の言い値もオプションなしで400000スムやったけど。
えー!じゃあドライバー、めっちゃ適正価格、なんなら安めに言ってたってこと!?
そこからかなり値引かせたってこと!?
今の今まで、高めに払ってると思ってたわ。
うーん、商売が下手すぎる。
初めに駅から中心部までを適正価格にして信用させておいて、長距離の大仕事を高めにとった方が儲かるやんか。
短距離の微々たる額をぼったくろうとして信用を失って、その後適正価格以下に下げられたら損やんか!!
8時間近く拘束されて、ガソリン代込みで350000スムじゃ、ご飯くらいおごってくれとも言いたくなるかもね。
でも最初に信用を失うようなことしたおっちゃんも悪いと思うわ…。
明日は朝8時半にヒヴァに向かって出発だ。5日目に続くよ。
→次の記事 5日目前半:ヌクス→城壁に囲まれた街、ヒヴァのイチャン・カラへ